マンションのベランダの外壁塗装は、外観を美しく保つだけでなく、建物の耐久性を高める上でも重要な工事です。
しかし、安易に塗装を進めると不要な費用が発生するなど、適切なメンテナンスが行えない可能性があります。

特に、マンション全体の塗装との兼ね合いや、DIYでの補修のリスクを正しく理解しておきましょう。
ここでは、施工を決める前に知っておくべきポイントを解説します。
 

マンション全体の外壁塗装を検討する

ベランダの外壁塗装を考えるときは、マンション全体の外壁塗装も合わせて検討すると良いでしょう。
ベランダだけを単独で塗装する場合でも足場が必要になるため、マンション全体の外壁塗装と同時にすれば足場費用を1回で済ませられます。

 
大規模なマンションほど足場の設置費用が高額になるため、個別に工事を依頼すると総費用が増加する可能性があります。
また、ベランダの外壁が劣化しているということは、建物全体の塗膜や防水機能も低下している可能性が高いです。
マンション全体のメンテナンス時期を見極め、適切なタイミングで塗装工事を行うことで、長期的に建物を保護しながらコストを抑えられます。

DIYでの補修はしない

マンションのベランダが劣化していると、自分で補修できるのではないかと考える人もいるかもしれません。
しかし、DIYでの補修はおすすめできません。
 

ベランダの外壁塗装はただ塗料を塗るだけではなく、下地処理や防水工事などの専門的な作業が必要になるため、適切な工程を踏まないと塗装の耐久性が大幅に低下してしまいます。
特に、塗装前の下地処理は仕上がりを大きく左右する重要な工程です。
プロの職人が行うケレン作業（汚れや古い塗膜の除去）は、塗料の密着性を高め、塗装の耐久性を向上させます。

 
しかし、素人がこの作業をするとムラができたり、塗料が剥がれやすくなったりするリスクが高まるでしょう。
 

また、ベランダは高所に位置しているため、DIYでの作業は転落事故などの危険性も伴います。
安全面と仕上がりの品質を考慮すると、専門業者に依頼するのが最善の選択です。

マンションのベランダの外壁塗装を行う際は、業者が入居者に事前に告知する必要があります。
工事が始まるとベランダに立ち入ることができなくなり、生活にさまざまな影響を及ぼすため、あらかじめスケジュールや注意点を伝えます。

また、荷物の移動やエアコンの使用制限など、具体的な制約についても事前に確認しておきましょう。
ここでは、入居者に周知しておくべきポイントを解説します。

ベランダの荷物を片付ける

外壁塗装工事が始まると、作業の妨げにならないようにベランダの荷物をすべて撤去する必要があります。
ベランダは共用部分に該当するため、工事の進行に合わせて業者が立ち入ります。
 

外壁塗装に伴う防水工事や塗装作業では、床面や壁面にしっかりと施工するため、何もない状態にしておきましょう。
工事開始の2～3週間前には施工業者から正式な案内が届くのが一般的なので、指示に従い、前もって荷物の移動を済ませてください。

ベランダに荷物を戻せるのは1～3か月後になる

工事期間中はベランダに立ち入ることができないため、荷物を戻せるのは施工がすべて完了した後になります。
特に防水工事では、塗膜が完全に硬化するまで時間がかかるため、すぐに荷物を戻すと施工不良の原因となることもあります。
 

足場の撤去や最終的な仕上げ作業を含めると、工事開始から1〜3か月後に荷物を戻せることが一般的です。そのため、長期間の管理が必要となることを理解しておきましょう。

ドレン排水が不可能なエアコンは使用できない可能性がある

エアコンの室外機がベランダに設置されている場合、施工期間中の使用についても注意が必要です。
基本的には室外機を移動しながら塗装が進められますが、エアコンの排水（ドレン排水）が適切に処理できない場合、使用を一時的に中止するよう求められます。
 

ベランダに水が溜まると塗装がうまく乾燥せず、施工の品質に悪影響を及ぼす可能性があるため、業者からの案内をしっかり確認し、必要に応じてエアコンの使用を控えましょう。

網戸は外さなくてもよい

ベランダの塗装工事において、網戸は移動させる必要がない場合がほとんどです。
荷物を室内に移動する際に、網戸も取り外すべきか悩むかもしれませんが、多くの施工では網戸をそのまま残して作業が進められます。
 

ただし、強風などで飛ばされる可能性がある場合や、塗料の飛散を防ぐために保護カバーをかけるケースもあります。
施工業者の指示を確認し、不安があれば事前に相談しておくと安心です。
 

施工後はすぐに触れない

塗装が終わった直後のベランダは、表面が完全に乾燥していない状態です。
そのため、施工が完了してもすぐに触れたり、物を置いたりすると、塗膜に傷がつき、仕上がりに影響を与える可能性があります。
一般的に、塗料が完全に硬化するまでに数時間から一晩程度かかるため、業者の指示があるまでは触れないようにしましょう。
 

足場には絶対に上らない

外壁塗装工事では、作業をスムーズに進めるために足場が設置されます。
足場は作業員の安全を確保するために設置されますが、居住者が誤って上がると転落の危険があるため、絶対に登らないでください。
また、1階部分の足場周辺も作業中は危険が伴うため、普段よりも周囲に注意を払いながら移動しましょう。

戸締りをきちんとする

工事期間中は、施工業者や管理会社のスタッフなど、多くの人がマンション内を出入りします。
そのため、普段以上に防犯対策を意識し、窓や玄関の施錠を徹底すべきです。
 

施工スタッフは識別しやすいように腕章をつけていますが、不審者が紛れ込むリスクは完全には防げません。
特に足場が設置されている間は、ベランダからの侵入を防ぐためにも窓の鍵を必ずかけるようにしましょう。
 

ニオイや騒音・振動が発生する

外壁塗装の作業では、塗料の独特なニオイが発生することがあり、敏感な人にとっては気になる場合があります。
 

また、作業中は塗装機械の音や振動が発生し、日常生活に影響を与える可能性もあるでしょう。
在宅時間が長い方や、小さな子ども、高齢者がいる家庭では、事前に対策を考えておくとよいでしょう。
 

工事期間中は換気のタイミングを調整し、耳栓を活用するなどできるだけ快適に過ごせる工夫も必要です。
業者からの事前案内をしっかり確認し、騒音やニオイへの対策を検討しておくことで、ストレスを軽減できます。

マンションのベランダの外壁塗装は、下地の補修や洗浄といった前準備が大切です。
正しい手順を踏まなければ、塗装の仕上がりや外壁のもちに大きな影響を及ぼすため、計画的に進めなければいけません。
 

ここでは、ベランダの外壁塗装における主な工事内容について詳しく説明します。
 

下地・タイル補修工事

外壁のコンクリートやタイルには、経年劣化によるひび割れや浮きが生じることがあります。
放置すると雨水が浸入して内部の構造が損傷し、建物の耐久性が低下する原因となります。
そのため、塗装を施す前に補修工事するのが一般的です。
 

工事では、ひび割れ部分に補修材を充填したり、劣化したタイルを張り替えたりする作業が含まれます。
作業中はコンクリートを削り、欠損部分を修復するため、騒音や粉じんの発生が避けられません。
 

また、施工期間中は安全上の理由からベランダの使用が制限され、洗濯物を干すこともできなくなります。
補修作業が完了することで、塗装や防水工事の仕上がりをより長持ちさせられるため、非常に重要な工程なのです。

外壁高圧洗浄工事

下地の補修が完了した後、外壁の表面に付着した汚れやほこりを取り除くために、高圧洗浄を行います。
この工程は、塗料や防水材の密着性を高めるために欠かせない作業であり、洗浄が不十分なまま塗装を施すと仕上がりが悪くなり、耐久性が低下する原因になります。
高圧の水流を使って外壁や天井、ベランダの床を洗浄するため、水しぶきが飛散することがあります。

そのため、工事期間中は洗濯物をベランダに干すことができません。
また、窓やサッシ周辺にも水がかかる可能性があるため、業者と相談し対策しておきましょう。
 

高圧洗浄を適切にすることで塗装の密着性が向上し、より長持ちする仕上がりを実現できます。
 

内外壁・鉄部塗装工事

高圧洗浄が終わると、いよいよ塗装の工程に入ります。
ベランダの外壁や天井、パーティション、雨樋など、各部位に適した塗料を使って施工が進められます。
塗装の際は、塗料が飛散しないようにサッシや窓ガラスをビニールで覆うため、作業期間中はベランダへの出入りが制限されることになります。

また、塗装に使用する塗料は、現在では比較的臭いの少ない水性塗料が使われることが多いですが、それでも塗装直後は独特のにおいが発生することがあります。
 

においに敏感な方は、換気のタイミングを調整する、または事前に業者へ相談するなどしておきましょう。
塗装工事が完了すればベランダ全体がきれいに生まれ変わり、外観の向上だけでなく、建物の防水性や耐久性も高められます。

マンションのベランダの改修工事では、外壁塗装だけでなく防水性や気密性を確保するための補修作業が必要になります。
シーリング工事や防水工事は、ベランダの耐久性を維持するために欠かせない工程です。
 

これらの工事を適切に行うことで、建物の劣化を防ぎ、安全で快適な住環境を維持できます。
ここでは、それぞれの工事内容について詳しく解説します。

シーリング工事

シーリング工事は、ベランダのサッシや建具周りの隙間を埋めることで、雨水の侵入を防ぎ、気密性や防水性を高めるために行われます。
シーリング材はゴム状の弾力を持ち、建物の微細な動きにも対応できるため、外壁やベランダの防水対策には欠かせません。
 

しかし、シーリング材は時間の経過とともに劣化し、ひび割れや剥がれが発生することがあります。
劣化した状態のまま放置するとそこから雨水が浸入し、外壁内部の損傷やカビの発生につながる恐れがあります。

そのため、定期的に打ち替えや補修しなければいけません。
 

また、シーリング工事の際は、施工の妨げにならないよう網戸の取り外しを指示される可能性があります。事前に確認しておきましょう。
 

防水工事

ベランダは常に雨風にさらされるため、防水機能が低下すると雨水が床下に浸透し、建物の内部にダメージを与える原因になります。
防水工事は、ベランダの床面に防水層を形成し、長期間にわたって水の浸入を防ぐことが目的です。
防水工事の方法にはいくつか種類があり、施工環境やコストに応じて適切な工法が選ばれます。
 

代表的なものには、ウレタン防水、FRP防水、シート防水などが挙げられます。
ウレタン防水は、液体状の樹脂を塗布して硬化させる工法で、施工が容易でコストも抑えられるため多くの現場で採用されています。
 

一方、FRP防水は強度が高く、耐久性にも優れているため、長期間にわたり高い防水性能を発揮します。
シート防水は、塩化ビニールやゴム製のシートを貼り付ける工法で、均一な品質を保ちやすく広い面積に適した方法です。

いかがでしたでしょうか？マンションのベランダの外壁塗装について、注意点や工事の流れ、入居者への告知事項などご理解いただけたかと思います。
外壁塗装は美観の維持だけでなく、建物の耐久性を高めるために必要な工事です。
この機会に、施工時の影響や準備について覚えておきましょう。
塗装工事で最も重要なのは、信頼できる業者を選ぶことです。

ウェルリペアでは、経験豊富な職人が事前調査を徹底し、建物の状態に適した塗装プランをご提案します。
マンションの外壁塗装を検討されている方は、ぜひウェルリペアにご相談ください。