マンションの美観を決定づけるとともに、建物の劣化を遅らせるという重要な役割を担うのが外壁塗装です。
経年劣化箇所の補修を考えると、定期的に実施する必要がありますが、少なくとも大規模修繕が行われるタイミングで一緒に実施したいものです。
自治体によっては、外壁塗装工事の工費助成制度を設けているところもあります。
この記事では、これから外壁塗装を予定されている方に、費用の相場や失敗しない色選びなどを解説します。
外壁は年数が経つと汚れが目立ち、見た目が悪くなってしまいます。
賃貸住宅の場合は、見た目が汚れていると、入居者数にも影響してしまうかもしれません。
また、外壁の塗膜を劣化したままにしておくと、雨漏りや、建物の構造部分が腐食する原因にもなり、建物の寿命を縮めてしまいます。
マンションなどの集合住宅は、戸建てのようにすぐに外壁の張り替えをしたり、建て替えをしたりするわけにもいきません。
そのため、マンションこそ、入居者の総意による計画的な修繕や外壁の塗り替えが重要になってきます。
外壁塗装に使われる塗料には、外観を良くするだけでなく建物を保護する効果もあるため、塗料が剥がれる前に再塗装することで建物が長持ちします。
マンションの改修工事のタイミングで塗装工事が行われるのも、建物の老朽化を防ぐ一環なのです。
外壁塗装をなんのために行うかといえば、建物の美観を保つために不可欠というのが最大の理由でしょう。
美しい外観は入居者や訪問者に良い印象を与え、賃貸物件としての魅力を高めます。
新しい塗装によって、マンションは新築同様に生まれ変わり、周囲の物件と見た目で大きな差をつけることができます。
マンションの外壁塗装と補修が必要なタイミングはいつでしょうか。
それは“マンションの劣化状態”と“塗り替えサイクル”から判断できます。
外壁塗装・補修のおおよそのタイミングを知って、計画的に費用を工面したいところです。
マンションの劣化状況を見ることで、外壁塗装と補修をするタイミングがわかります。
以下に列挙したような症状がみられたら、外壁塗装・補修が必要なサインです。
費用工面の問題もありますが、傷みがひどくならないうちに工事に着手したほうがよいでしょう。
ただし、見た目のみでは判断できない劣化もあるので、打診調査や赤外線調査などの精密検査が必要な場合もあります。
塗装工事が必要な状態を示すサイン
これらの症状にひとつでも当てはまれば、塗装工事のタイミングかもしれません。
まずは、建物診断ができる専門家に調査を依頼し、工事の必要性を確認します。
工事の方向性が決まったら、マンション総会で工事の必要性を説明し、費用の徴収に道筋をつけて施工業者を手配するか、次に説明する大規模修繕のタイミングを待ちましょう。
突発的な補修工事の必要を除けば、マンションの外壁塗装は、大規模修繕工事の一環として行うのが通常です。
国土交通省のガイドラインによると、分譲マンションに関する大規模修繕工事は12年周期が目安とされています。
しかし実際の周期の最頻値は13年で、全体の約7割は12~15年周期で大規模修繕を実施していました。
ガイドラインの目安より修繕の間隔が空くぶん、外壁の痛みもより進んでいることが推測されます。
なお、国土交通省住宅局が出した“民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック”によると、外部塗装のメンテナンスの目途は11~18年目としています。
国土交通省の調査によると、マンションの外壁塗装の工事費用の相場は1戸あたり12.9万円から21.6万円で、1㎡あたりでは865~2,595円となっています。
これは外装塗装工事単体の費用目安ですが、大規模修繕工事の一環として行った場合は足場代などがお得になる計算です。
ちなみに、1回目の大規模修繕工事で全体の費用の24%と、最大額を占めたのは外壁関係の工事でした。
工費の大きな部分はやはり塗料です。
施工費用は使用する塗料や外壁の面積によって異なります。
塗料の単価は、安いものは1缶5,000円から高いものだと10万円を超えるものまで、さまざまです。
よく使われるのは8つのグレード(後述)のなかで、下から2番目のウレタン樹脂系塗料と3番目のシリコン樹脂系塗料です。
この2種は単価でいうと1万~2万円の違いがあるので、グレード一つの違いとはいえ、全体の工費に大きな差が生じます。
ですから、正確な施工費用を知りたい場合には、業者に相談して見積もりを出してもらうことをおすすめします。
また、同じマンションでも施工費用は業者によって差があるため、複数の施工会社から相見積もりをとっておきましょう。
塗装面積や築年数、戸数などによって差はあるものの、マンション全体では数百万円単位のお金がかかる外壁塗装の費用を少しでも軽減できる方法はないものでしょうか。
実は、各地方自治体が設けている助成金や補助金を利用するという手があります。
ただ、どの自治体にも制度があるわけではなく、受給できる金額も地域によってまちまちです。
壁全面を塗装する場合に限り費用の一部を補助する、省エネ対策のための外壁塗装が対象など、工事内容に条件をつけている自治体もあります。
返済不要の制度ですが、助成を受けられる審査や条件などはよく確認しておきましょう。
自治体によって助成金支給の条件は異なりますが、おおむね共通している条件は次の通りです。
外壁塗装に関する助成金を受け取るための主な条件
なお、支払いは工事終了後に行われます。
外壁塗装工事に必要な日数は、当然ながら建物の規模によって変わります。
通常、戸建て住宅の外壁塗装なら2〜3週間、2階建て程度のアパートで半月~1か月、それ以上のマンションでは1~3か月程度かかるとみておけば、そう狂いはないでしょう。
ただし、外壁塗装は大雨の中では実施できないので、天候によっては順延となります。
工期が延びても追加料金は発生しませんが、外壁塗装工事を依頼するなら工期のブレが少ない天候の良い季節を選ぶことをおすすめします。
マンション・アパート外壁塗装工事は基本的に次のような工程で実施します。
外壁塗装工事着工後の工程
高圧洗浄が終わったら、塗装を始める前に、軽微なひび割れや傷などの経年劣化が見受けられる外壁の補修にとりかかります。
ひび割れ箇所があれば補修をし、ほとんどの住まいで劣化しているコーキングを打ち替えます。
そしてケレンや目荒しによって、塗料がきれいに密着する塗装面を作るまで行うのが下地処理です。
外壁の塗装は3回塗りが基本です。
多くの塗料は塗布してから数時間以上の乾燥時間が必要なので、下塗り、中塗り、上塗をそれぞれ1日ごとに行うことになります。
お金も手間もかかる外壁塗装ですから、一度行ったらなるべく長持ちさせたいものです。
外壁塗装の寿命は適切な工事やメンテナンスをすることで長くもなれば、短くもなります。
そのためにも定期点検を行ってトラブルがあれば早期発見することが大切ですが、ほかにも次のような点に気を配りたいところです。
外壁塗装を選ぶときは、ランニングコストで考えるのがおすすめです。
一般的に耐候年数が短いものは塗料の値段は安く済みますが、そのぶん、修繕回数が多くなります。
耐候年数が長いものは塗料の値段は高くなりますが、修繕回数は少なくなるという利点があります。
要は残り何年、そのマンションを利用し、その間に何回大規模修繕があるのかによって選択すべき塗料は変わってくるということです。
こうした要素を抜きにして、ただ、“外壁を長持ちさせる”という観点で選ぶなら、高くても耐候年数の長い塗料を選んだほうが修繕の間隔が空くぶんお得です。
塗料のグレード(価格順)と耐候年数
塗料のグレード | 特徴 | 耐候年数 | 1缶あたり価格 |
無機ハイブリッド | ・無機と有機のハイブリッド型で高い耐候性 ・紫外線、雨、熱から建物守る |
17~25年 | 5万~12万円 |
無機配合型フッ素 | ・フッ素塗料に無機成分配合 ・紫外線、雨、熱から建物守る |
15~25年 | 4万~10万円 |
ピュアアクリル | ・高耐候性・高弾性を有する ・防水性に非常に優れた塗料 ひび割れによる水の浸入防ぐ |
14~16年 | 5万~7万円 |
フッ素 | ・耐候性優先したい方におすすめ ・長期間、建物を保護 |
12~20年 | 4万~10万円 |
光触媒 | ・汚れ防止を優先する方におすすめ ・太陽光と雨の自然の力でセルフクリーニング効果がある |
10~20年 | 2万~5万円 |
シリコン | ・一般的によく使われる塗料 ・コスパの良さが評価の対象 |
7~15年 | 1万5千~4万円 |
ウレタン | ・価格が安い ・定期的に塗り替えを楽しみたい方向け |
5~7年 | 5千~2万円 |
アクリル | ・価格が安い ・定期的に塗り替えを楽しみたい方向け |
3~5年 | 5千~1万5千円 |
マンションの外壁塗装で、楽しみでもあり悩みの種ともなるのが、何色を選べばよいのか?ではありませんか。
マンションが立地する地域や周りの景観、入居者の属性などによって最適な色というのはおのずと決まってきます。
選択の重要なポイントは、マンションのイメージに合う色、汚れが目立ちにくい色を選ぶ、見本より塗装が終わった実物を見て判断するといったところでしょうか。
色選びに失敗すると、最悪の場合、短い期間で再び塗り直す必要が生じ、予期せぬ出費増となりますので、悪目立ちするような色は避けたほうが無難です。
そうした観点から、万人受けするカラーを探すと、ホワイト系・ベージュ系・グレー系・ブラウン系などのオーソドックスな4色になります。
汚れが目立ちにくいのは、グレー系・アイボリー・ベージュ系・ブラウン系・グレー系・グリーン系などです。
逆に、ホワイト系・ブラック系・赤色系・原色系は、経年による汚れや色あせが目立ちやすい色です。
都心のデザイナーズマンションなどに使われがちな、赤色系・原色系を選ぶのは、その意味でもかなりの冒険といえるかもしれません。
また、複数の配色にする場合は3色以内にまとめると、統一感が失われるのを避けることができるので、その点も気にとめておきましょう。
マンションの外壁塗装は、足場を設置した上から安全のための養生シートをかけるため、場合によっては半年間ベランダが使えない、景観を損ねるといったことが起きます。
マンション入居者や近隣住民とのトラブルを避けるためにも、外壁塗装の実施が決まったら、早めに告知するのが鉄則です。
告知しておきたい主な内容は、“工事の期間”“工事の時間帯”“実施する工事内容”“入居者に気をつけてほしいこと”の4つです。
十分な告知期間を取って、居住者の理解を得るようにしましょう。
以下では、外壁塗装工事中に起こりやすい住民トラブルを3つ取り上げます。
外壁塗装工事中は、バルコニーを使えなかったり窓を開けられなかったりします。
マンション居住者の生活は制限され、当事者に多大なストレスを与えることは否めません。
臭いに敏感な方だと、塗料独特のシンナー臭により、体調が悪くなってしまうこともあるでしょう。
臭気は対策が難しいぶん、トラブルに発展しやすいので特に注意が必要です。
外壁の洗浄や塗装を行うと、多くの場合、ベランダで洗濯物を干せない期間がでてきます。
作業によるチリやホコリ、塗料の臭い、騒音などが発生するため、窓を開けたくても開けられなくなるでしょう。
ベランダや窓は、適切に養生しないと十分に塗装できないので、この点は外壁関連工事の最大のネックです。
外壁塗装工事は、マンション居住者だけでなく近隣住民への配慮も欠かせません。
足場設営時の大きな金属音や塗料の臭気拡散は、マンション内に留まらないからです。
工事車両が通行の妨げになることもあるので、クレームに発展させないよう、工事期間や騒音、臭気について、施工会社が行う事前説明の挨拶回りに同行するのが望ましいでしょう。
今回はマンションの外壁塗装について、なぜ必要なのか、いつ実施するか、工事の工程や自治体の助成金制度、失敗しない色選びのポイントなどさまざまな角度から取り上げました。
外壁塗装はマンションの美観を保つ目的や、経年劣化による建物の傷みを修繕するために定期的に行う必要があります。
何より重要なのはやはり工事を委託する業者選びです。
経験と知識が豊富で丁寧な仕事をしてくれる業者でなければいけません。
外壁に合わない塗料で塗装すると劣化進行が早くなるからです。
株式会社ウェルリペアでは経験を積んだ職人がしっかり事前調査を行ったうえで、お客様の建物に合ったベストな塗装プランをご提案します。
ぜひご用命ください。
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