戸建てやマンション、ビルなどの建物は、美観や資産価値を保つために定期的な塗装が必要です。
塗装が必要なタイミングを見逃すと劣化が促進し、塗装だけでは修繕できなくなることも少なくありません。
しかし、はじめて外壁塗装を行う人はどのくらいの期間がかかるのか、費用はいくらくらいなのか気になるところでしょう。
そこで今回は、外壁塗装の基礎知識や塗装するメリット、一般的な工程、費用相場を解説します。
費用を安くする方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
外壁塗装とは建物の美観を保ち、寿命をのばすために必要な工事です。
見た目があまり気にならないようであれば塗装は実施しなくてもよいと考えるかもしれません。
しかし、建物は日々、雨風や紫外線などの影響を受けています。
外壁は頑丈に見えて、実は少しずつ劣化しています。
劣化を放置すると外壁にひびが入ったり破損したりして、雨漏りを引き起こしかねません。
劣化が進んでいくのは、外壁表面の防水性能が低下しているからです。
防水性能が低下すると塗料の塗膜が剥がれやすくなり、雨風や紫外線が外壁材に直接影響を与えます。
防水性能を高めれば外壁材を守れて、劣化を遅らせられます。資産である建物を守るためにも、メンテナンスを怠らないようにしましょう。
では実際に外壁塗装を実施するのはいつがよいのでしょうか。ベストなタイミングを逃すと劣化が悪化する恐れがあります。ここでは、塗装タイミングの目安となる築年数と劣化の症状を解説します。
外壁塗装は築10年を目安に実施するのがおすすめです。
使われている塗料によって塗り替え時期は異なりますが、多くの建物にはシリコン系塗料が使われています。
シリコン系塗料の耐用年数は7〜15年なので、10年前後で塗り替えるのが最適だといえるでしょう。
あまり劣化が進んでいない場合は、時期をズラせる場合もあります。
ただし、悪化しすぎる前に外壁を保護してあげることが大切です。
なるべく自己判断はせず、専門家による点検を受けてから塗装の時期を検討することをおすすめします。
築10年以内でも外壁塗装が必要になるケースがあります。
それは劣化の悪化です。立地環境や地域によって外壁が受けるダメージはさまざまあります。
ここでは目安となる劣化の症状をまとめました。塗り替えの目安の一つとして考えてください。
劣化の症状 | 詳細 |
ヘアクラック | 塗膜に細いひびが入る |
クラック | 下地がひび割れする |
チョーキング | 壁表面に白い粉がふく |
シーリング | 外壁材の接合部にひび割れが起きる |
色あせ | 塗膜の色が変色している |
剥離 | 塗膜が剥がれる |
色あせやヘアクラックは劣化の初期段階です。
これらを放置するとひび割れや剥離などが起き、目視で劣化していることがわかります。
劣化の症状も一つの目安として、適切なタイミングで塗装しましょう。
外壁塗装を行うと、以下のメリットが得られます。
・外観の一新
・外壁の劣化防止
・遮熱・防水機能の付与
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
外壁塗装の大きなメリットは、外観を一新できることです。
時間が経つにつれて外壁の表面には色あせやひび割れなどが見られるようになります。
そうなると美観は損なわれ、新築当初の美しさは薄れてしまいます。外壁塗装ではまず美観を戻せるのがメリットです。
次に、デザインを変えられるのも塗り替えをする魅力といえます。
塗り替えを機に外壁に使われる色数を増やしたり塗り方を変えたりすれば、以前とは違う印象に仕上がります。
劣化を改善するだけではなく、イメージチェンジとしても外壁塗装は有効です。
外壁塗装には、劣化を遅らせられるメリットもあります。
最初は軽度の劣化であっても、放置すれば徐々に悪化して破損や水漏れなどの被害に発展することも少なくありません。
劣化が悪化するのは、外壁の防水性能が低下しているからです。
防水性能が低下したままだと、外壁材が直接雨風や紫外線などのダメージを受けます。
さまざまな劣化から外壁を守るには、塗装を行って防水性能を高めることが重要です。
防水性能が高まれば外壁材にダメージが届きにくくなるので、劣化防止につながります。
塗装は美観の維持や劣化を抑制させる以外にも、メリットがあります。
それは機能性を高められることです。塗装で防水性能を高めるのはもちろんですが、遮熱や防汚などの機能も付与できます。
例えば遮熱機能を高めると、塗装表面の温度上昇を軽減できます。
外壁の温度が抑制されれば室内の温度上昇も抑えることが可能です。
防汚機能は、外壁に汚れが付着しても流れ落ちやすくするための機能です。
塗料の機能性を高めればお手入れがしやすくなったり快適性が向上したりするので、塗装する際は塗料の機能にも着目してみましょう。
ここでは、外壁塗装の大まかな工程を解説します。
業者によって細かい部分の工程は異なってきますが、一般的な流れとしては以下の通りです。
各工程の詳細を解説します。
外壁工事が始まる前に、まずは近隣へあいさつします。
外壁塗装中は騒音や塗料のニオイなどが発生するため、近隣に迷惑がかかるのはもちろん、私生活にも影響を及ぼしかねません。
無断で塗装工事を実施すれば、近隣からクレームが入る可能性があります。
円滑に進めるためにも、事前にあいさつしておくことは大切です。
次に工事対象の現場確認を行います。
現場確認では、足場を設置する際に邪魔になるものがないか確認し、必要に応じて移動させていきます。
業者が勝手に動かすとトラブルに発展しかねないため、依頼主に許可をとりながら行うのが基本です。
このとき、とくに壊してほしくないものがあれば伝えておきましょう。
現場確認が終われば、足場を設置していきます。
足場は建物を囲う形で設置するのが基本です。
金属製の棒や板を組み終えたら飛散防止ネットや防音シートなどを被せ、工事中に発生する騒音やゴミなどが近隣に届かないように対策します。
依頼先である業者が足場を組む場合もあれば、委託して組む場合もあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
足場の設置が終わったら、塗装する前に高圧洗浄をかけていきます。
高圧洗浄を行うのは、塗料をきれいに塗るためです。
ゴミが付着していたり塗膜が剥がれていたりする外壁に上から塗装しても、短期間で剥がれてしまいます。
塗装工事の効果を最大限与えるためにも、時間をかけて丁寧に洗浄していきます。
高圧洗浄の次は下地処理の工程です。
下地処理では、ひび割れや剥がれなどを補修して、凸凹をきれいにならしていきます。
実は下地処理は重要な工程の一つです。下地処理がしっかりできていないと、うまく塗装ができません。塗膜が剥がれやすくなるため、工事後早々に塗り直しを行う必要があります。
外壁の劣化があまり進んでいない場合は、短期間で下地処理は完了します。
しかし、複数箇所ある場合は下地処理に時間がかかるため、工期がのびることも少なくありません。
窓サッシや床、エアコンの室外機など塗料をつけたくないところには、ブルーシートやビニールテープなどを使って養生します。
建物の周辺に植栽がある場合も養生を被せて守ります。
養生は建物周辺を汚さないために必要な工程です。
窓に養生する場合もあるため、外壁塗装中も窓を開けたい場合はその旨を伝えましょう。
事前に伝えておけば窓を開けられるように配慮して養生してくれます。
塗装の下準備ができたら、下塗りをします。下塗りを行うのは、中塗り・上塗りの密着性を高めるためです。
本来塗装は下塗り→中塗り→上塗りの順番に塗り重ね、各工程に乾かす時間を設けます。
下塗りが乾いていない状態で中塗り・上塗りに移ると塗料の効果が発揮されず、施工不良につながります。
そのため、1日で塗装が終わるわけではないので覚えておきましょう。
下塗りが乾いたことを確認できたら、中塗り・上塗りをしていきます。中塗り・上塗りは仕上げとなる重要な工程です。
ローラーやハケを使って塗り残しのないように丁寧に塗装していきます。
中塗りから上塗りに移る際もしっかり乾燥時間を設けますが、塗料によって乾燥時間は異なるため、期間が気になる場合は業者に聞いてみるとよいでしょう。
塗装工事を終えた後は、完了検査を行います。完了検査とは、最終チェックのことです。
仕上がりを確認したり塗り残しチェックをしたりと念入りに行います。
完了検査には依頼主も立ち会うため、なるべく現場にいるようにしましょう。
もし気になる点があれば完了検査中に伝えると、即時対応してもらえます。
立ち会いなしで引き渡しした場合、後から気になる点が出ても対応に時間がかかることになるので注意してください。
最終検査を終えたら足場の解体を行います。
設置時同様、解体時も大きな音が出るため、あらかじめ近隣にお知らせしておくのがよいでしょう。
音が出る時間帯を伝えておけば、近隣も協力してくれるはずです。
解体後は資材や道具を片付けて、依頼主に挨拶をします。工事後に保証書などが渡されるので、忘れずに受け取りましょう。
問題なく終われば、塗装工事は終了です。
外壁塗装に要する日数は規模によって異なります。
おおまかな日数は以下の通りです。
・戸建て:10〜14日
・アパート:2〜3週間
ここで覚えておきたいのが、大幅に短縮することはあまりできないこと。
塗装には乾かす時間や下塗り、上塗りなど、1日で2工程進めることができないことがあるからです。
なお、外壁塗装の工程は工事工程表で確認できます。打ち合わせや挨拶時に口頭で説明を受けますが、詳細を覚えておくのは難しいものです。
工事工程表には「この日は〇〇作業を行う」などが詳細に記載されています。
しかし外壁塗装は天候でスケジュールが前後することもあるため、予定通りにいかないことも少なくありません。
気になる場合は都度業者に確認してみるとよいでしょう。
外壁塗装を検討するにあたって気になるのは費用相場ではないでしょうか。
ここでは、坪数ごとの費用相場と塗料の種類ごとの費用相場を解説します。
どのくらい費用がかかるのか、ぜひ参考にしてください。
外壁塗装にかかる費用は、坪数ごとで大きく異なります。
坪数 | 費用面積 |
10坪 | 20~40万円 |
20坪 | 40~70万円 |
30坪 | 60~100万円 |
40坪 | 80~130万円 |
50坪 | 100~160万円 |
60坪 | 120~200万円 |
70坪 | 140~230万円 |
100坪 | 200~320万円 |
同じ坪数であっても外壁の形状や大きさなどで左右されることも少なくありません。
あくまでも一つの目安と考えて予算を組んでみましょう。
なお坪数とは、各階の床面積をすべて足した延坪のことです。
戸建てを例に挙げると、一階部分が20坪で2階が10坪であれば30坪になります。
この場合、費用相場は約60〜100万円です。
外壁塗装にかかる費用は、使用する塗料によっても異なります。
塗料の種類 | 耐用年数 | 費用相場 |
アクリル塗料 | 3~8年 | 1,000~1,800円/㎡ |
ウレタン塗料 | 5〜10年 | 1,500~2,500円/㎡ |
シリコン塗料 | 7〜15年 | 1,800~3,500円/㎡ |
フッ素塗料 | 12〜20年 | 3,000~5,000円/㎡ |
塗料によって費用が変わるのはもちろん、耐用年数も異なります。
リーズナブルな塗料は初期費用を抑えられる一方で、高頻度で再塗装しなければなりません。
高い塗料は長持ちする反面、費用が高いなど、どちらにもメリット・デメリットがあります。塗料を選ぶ際は、それぞれの特徴をよく知ってから決めましょう。
ここでは、外壁塗装にかかる費用の内訳について解説します。
外壁塗装に関する内訳を把握しておくと、見積もりをとる際に役立ちます。
業者によって内訳ごとの費用は異なるため、ここでは一般的な費用相場をまとめました。
内訳の内容 | 費用相場 |
足場代 | 700円/㎡ |
高圧洗浄 | 300円/㎡ |
養生 | 300円/㎡ |
飛散防止ネット | 100円/㎡ |
シーリング | 1000円/m |
塗装代 | 3,000円/㎡ |
廃棄物の処分費 | 20,000円 |
外壁塗装を行う際は必ず足場を設置します。
円滑に作業を行うためだけではなく、作業員の安全を確保するためでもあります。
外壁塗装にかかる費用は外壁の面積によって左右されるので、上記の費用相場を目安にある程度計算してみてもよいでしょう。
外壁塗装にかかる費用は決して安くはありません。
少しでも費用を抑えたい場合は、以下のポイントを参考にしてください。
・梅雨・冬場に塗装する
・補助金を活用する
・相見積もりをとる
外壁塗装は年中できる工事ではありますが、梅雨や冬場は作業がしにくい時期として工事が長引きやすいデメリットがあります。
そのため、業者は費用を安くして工事を請け負っていることも少なくありません。
長引くことに対して追加費用がかかることはないため、期間にこだわっていない場合は検討してみるとよいでしょう。
また、国や自治体の補助金制度を活用するのも方法の一つです。
各制度の条件を満たせば工事費用の一部を補助してくれます。国や自治体が設けている補助金制度は、各ホームページで確認できるので、チェックしてみましょう。
外壁塗装にかかる費用は、同じ施工内容であっても業者によって異なります。
そのため、複数社から見積もりをとるのがおすすめです。
価格比較ができるだけではなく、提案プランや対応力なども比べられます。
このとき注意したいのが、安すぎたり高すぎたりする業者です。
費用に大幅な差が生まれるのには、何か理由があります。
例えば費用が安いのは、材料の種類を変えたり人件費を削減したりしているのかもしれません。
高いのは単に高額請求を要求している場合があります。
相見積もりをとる際は、総合的に評価することを意識しましょう。
外壁塗装中は、普段通り生活することは可能です。
ただし、騒音や塗料のニオイが発生するため、窓を閉めておくことをおすすめします。
また、ホコリやゴミなどが飛散する可能性が高いことから、洗濯物を外に干すことも避けたほうがよいでしょう。
どうしても外に干したい場合は、一度業者に相談してみることをおすすめします。
工事スケジュールによっては洗濯物を干せる日があるかもしれません。
外に干せない日は室内干しやコインランドリーの活用も視野に入れておくとよいでしょう。
塗装している間はあまり音は発生しませんが、足場の設置や高圧洗浄を行う際は騒音に悩まされます。
騒音が出る時間帯や期間はなるべく外出したり仮住まい先を見つけたりするのも過ごし方の一つです。
外壁塗装は10年周期で行うのがよいとされています。
見た目に劣化が見られなくても、雨風や紫外線によって徐々に劣化しているものです。
定期的に塗装することで美観が保てるだけではなく、劣化を遅らせることもできるので、建物を長持ちさせられます。
外壁塗装を行う際は、どのような流れで進むのか把握しておくと安心です。
建物の安全と寿命のためにも、定期的に塗装するようにしましょう。
東京の外壁塗装・マンション修繕をお考えの方は、ぜひ「ウェルリペア」にご相談ください。
定期的な点検と修繕プランを提案し、経年劣化を防ぎつつ資産価値を守るお手伝いをさせていただきます。
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